ゼロゼロ融資とは
2021年の年末時点でゼロゼロ融資の実行額が42兆円に達したと報道されています。
ゼロゼロ融資とは無利子・無担保融資の総称です。
信用保証協会付きの融資における無利子・無保証料融資をそう呼ぶこともあります。
ただし最近では、コロナ問題に対応して2020年から新設された事業者向け融資を指すことが多いようです。
わが国では概ね10年周期で特別な中小企業向け融資制度が設けられる歴史があります。
金融業界のベテランであれば1998年の金融安定化保証、2008年の緊急保証制度を思い出すことでしょう。
それにしても今回の42兆円という巨大な数字はどのようにとらえるべきでしょうか。
日本政策金融公庫のコロナ特別貸付
2020年3月にスタートした日本政策金融公庫のコロナ特別貸付は必要書類の軽減、スピーディな審査、そして一件あたりの承認金額が通常融資より比較的大きく、コロナ問題にあえぐ多くの中小企業にとって正に干天の慈雨と言えるものでした。
2020年の春から夏にかけて公庫に持ち込まれる融資案件は通常の数倍に上り、公庫の各支店では大変な苦労があったようです。
現場の公庫職員の大活躍のおかげで、ひとまずは多くの中小企業が窮地を乗り越えたわけです。
その日本政策金融公庫を含む政府系金融機関の融資実行額が約19兆円、民間金融機関が約23兆円、合計42兆円が2021年年末時点のコロナ関連融資の残高となります。
コロナ融資の返済開始
コロナ関連融資は給付金とは異なり、企業は今後返済していかなければなりません。
これらの融資では多くの場合1-2年程度の元金据え置きが認められましたが、その据置期間も終わりつつあります。
しかしコロナ問題がまだ収束しない中、この返済負担が企業にとって極めて重大であることは言うまでもありません。
政府においても新たな対策が検討されているようですが、結論までにはまだまだ時間がかかるでしょう。
経営者が心がけるべきこと
ここで経営者が心がけるべきことは、資金繰りに不安が生じた場合にためらうことなく金融機関へリスケ(返済猶予)の相談を行うことです。
借入の返済義務をもちろん忘れてはいけませんが、返済のために企業が立ちいかなくなっては本末転倒です。
それは経営者や従業員はもちろんのこと、金融機関や社会にとっても結果的に大きな損失となります。
基本的に今の金融機関は政府系と民間を問わず、粘り強く交渉すれば一定のリスケを認めてもらえる方向にあります。
あらゆる手段で現在の危機をしのぎつつアフターコロナの景気回復を待つ、そのしぶとさ・粘り強さを経営者皆様には持ち続けていただきたいと思います。