コロナ融資の足元返済状況
全国地方銀行協会の柴田久会長(静岡銀行頭取)は3月16日に開いたオンライン記者会見で、新型コロナウイルス禍での実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)について「2021年9月末で残高がある約40万件のうち、既に4割で返済が始まり、今年9月末までにおよそ5割に上る見通し」と述べており、これから実質無利子・無担保融資の返済が本格化します。
足元の返済状況については、日本政策金融公庫のゼロゼロ融資では、2021年12月時点において、2020年4月~21年3月に実施されたコロナ融資の中で、予定通り元金返済ができず、条件変更や追加融資を受けた人は10.6%と1割超が当初約定通りの返済が出来なかったとされています。
さらに、ゼロゼロ融資は返済の据置期間を設けているケースが多く、据置期間が長い程、返済開始後の毎月元金返済額が大きくなり、また利息についても実質無利子になるのは最初の2、3年であることから、今後返済開始する企業については返済条件がより厳しくなり、上記の1割を大きく超える企業に返済懸念があることが予想されます。
そこで今回は今後増えていくであろう返済困難な企業の立場から、その対応策を考えていきたいと思います。
対応策その一:金融機関への追加融資要請
経済新聞や経済誌のインタビュー記事などによると、公的・民間金融機関のトップらは、コロナ融資については、資金繰りが安定するまでは追加融資で企業を支えていく意向を示しています。
実際に、静岡銀行ではコロナ融資の返済が始まった企業の約4割に対して自前での追加融資を実行しているといいます。
追加融資を受けることで資金繰りが安定する見込みがある企業は、金融機関に相談してみるべきです。
しかしながら、飲食業やサービス業などで、コロナ融資で初めて金融機関から融資を受けたような金融機関との付き合いが希薄な(メインバンクがない)企業には、追加支援の手が回らないケースも今後は十分考えられます。
そういった企業は次に述べるリスケの相談を行うべきです。
対応策その二:金融機関へのリスケ要請
コロナ融資の返済開始時においても資金繰りが安定せず追加融資も受けられない場合には、金融機関にリスケ(返済猶予)の相談を行いましょう。
最悪の事態は、返済を優先にしたために、仕入れや給料の支払いが追いつかず事業継続が出来なくなることであり、これを回避する手段としてのリスケを経営者はためらうべきではありません。
社会的にもコロナ融資の返済の難しさについては数多く取り上げられており、一筋縄ではいかないことを各金融機関も認識しているはずなので、粘り強く交渉することで一定のリスケが認められるものと思います。
経営者が心がけるべきこと
これからコロナ融資の返済が始まっていく企業の経営者は、出来る限り早く、自社の返済能力を見極めて、そのまま通常通り返済を始めるのか、あるいは金融機関への追加融資やリスケ要請をするのかを判断しましょう。
もしリスケ要請が必要な場合は、一旦銀行の返済口座への入金をストップし返済を延滞させておいても良いと思います。
追加融資やリスケを要請するにしても、実行までには時間がかかると思いますので、余裕を持った対策をしていきましょう。