事業計画書とは

融資の申込みでは金融機関から事業計画書の提出を求められることがあります。

事業計画書とは自社の状況をわかりやすくまとめた、いわば会社の身上書と言えるものです。

事業計画書は金融機関により、あるいは利用する融資制度により様々な形式がありますが、記載する内容は概ね似通っています。

令和5年1月から政府はコロナ借換保証という新たな融資制度をスタートしました。

今回はこのコロナ借換保証で提出が求められる事業計画書=経営行動計画書をもとにして計画書作成のポイントを見ていきましょう。

↓経営行動計画書のサンプルはこちら↓

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/dl/keikaku_sample.pdf

1.事業者名等

この制度では、事業者と金融機関が緊密に連携することを条件に融資が行われます。

その点を改めて確認するとともに、金融機関側も確認した日時や方法を記載しなければなりません。

2.現状認識

「事業概要」欄には業種を記載するほか、自社の事業内容を簡潔に記載しても良いでしょう。

「外部環境、事業の強み・弱み」欄には、自社のSWOT分析を記載しましょう。

SWOT分析とは強み(strengths)、弱み(weaknesses)、機会(opportunities)、脅威(threats)の4項目を分析するものです。

強みと弱みは主に競合他社と比較して、機会と脅威は外部環境の変化により追い風となるような事、もしくは逆風となるような事はないか分析してみて下さい。

サンプルでは外部環境はコロナ禍でのツーリング需要の高まりを機会として、一方で原材料不足による納車の遅れで売上改善に至っていないことを脅威としています。

「課題」は上記を分析した上で、機会を生かす、脅威を回避する、強みを伸ばす、弱みを克服する、等の方向を検討してみましょう。

「経営状況、財務状況」では自社の経営状況(黒字か赤字か、その理由等)、財務状況(借入が多すぎないか等)を分析しましょう。

「課題」は上記を分析した上で、最終的に損益を黒字化するにはどうすれば良いか検討しましょう。

3.財務分析

サンプルの右下にある計算式をそのまま当てはめてみましょう。

難しそうな名前の指標が多いですが、計算自体は概ね簡単です。

4.計画終了時点における将来目標

「現状認識」で分析した課題を踏まえて将来の目標を記載します。

「EBITDA有利子負債倍率」はサンプルのように計画5年目で10倍に収まるように記載しましょう。 EBITDA有利子負債倍率は自社の負債を何年で返済することが出来るかという指標で、10~15倍が正常な目安とされています。

5.具体的なアクションプラン

「現状認識」で分析した課題を具体化する取組を記載します。

サンプルのように、「売上の確保」と「利益率の改善」が課題であるなら、

「売上の確保」は①新規顧客(商品・市場)の獲得②既存顧客(商品・市場)の維持・強化の方向で検討、

「利益率の改善」はまず①経費削減、②他社との差別化、付加価値の向上で利益率の強化、等の方向で検討しましょう。

改善目標指標と目標値については次項の「収支計画及び返済計画」を作成後に数値を入力しましょう。

「本資金の活用方法」は今回の融資金を目標達成のため、どのように用いるか記載しましょう。

6.収支計画及び返済計画

まずは直近決算の状況を入力し、計画1年目から5年目にかけて順次数値を改善させていきます。

売上高の確保が課題ならば売上を、利益率の改善が課題ならば営業利益や当期純利益を改善させていきます。

「現状認識→課題の検討→具体的な行動計画と数値目標の設定」の流れで構成される事業計画書は多いので、その作成では今回の内容をぜひ参考にして頂ければと思います。

経営者が心がけること

事業計画書の作成は金融機関の担当者が代行するケースも多く見受けられます。

しかし例えメインバンクの担当者であっても、やはり外部の人間が作成した計画書は表層的です。

表現は稚拙でも構いませんので、まずは経営者自身が自社を分析して計画書を下書きしてみましょう。

そのうえで顧問税理士や金融機関担当者の添削を受け、完成させることが望ましい流れと言えます。

事業計画書の作成は自社を見つめ直す良い機会にもなることでしょう。