次の融資が有利になる入金先は「信用金庫・信用組合」
民間金融機関で融資を受けた場合、その融資金は必ず融資を受けた金融機関の口座へ入金となりますが、日本政策金融公庫は融資専門の金融機関で預金口座は存在しないため、他の金融機関口座を指定する必要があります。
今回は「次の融資が有利になる入金先」として、信用金庫・信用組合を選びたい理由を解説します。
わかりやすいように、①都市銀行・地方銀行に入金した場合、②信用金庫・信用組合に入金した場合、の両方を比較しながらお伝えしましょう。
都市銀行・地方銀行を入金先に選んだ場合
都市銀行は多くの企業が利用する金融機関で信用力もあり、商売をする上でも何かと便利です。
しかしながら、公庫から受けたせっかくの融資金を入金するのは少しもったいないと考えます。
都市銀行からすると公庫から受けた創業融資は微々たる金額であり、その入金により、都市銀行から何らかのアクションがあり、次の融資に結び付く可能性は極めて低いと言えます。
地方銀行の場合は規模にもよりますが、やはり次の融資が有利になるかという点においては信用金庫・信用組合ほど期待はできないでしょう。
信用金庫・信用組合を入金先に選んだ場合
優良企業は都市銀行や大規模地銀との取引で事足りているので、そこに信金・信組が入り込む余地は少なくなります。
その為、信金・信組は新規創業したばかりで実績の乏しい企業・赤字企業との取引も積極的に行う傾向にあります。
また、信金・信組は高金利のキャンペーン定期預金や高齢者宅の訪問による年金定期預金の獲得など高いコストを掛けて一生懸命に預金を集めているのが実態です。
そんな中、日本政策金融公庫の審査済で一定の信用力がある企業から、コストを掛けずに預金を集められるのは有難いものです。
公庫から借り入れた数百万円から1千万円単位の預金を信金・信組に積むことは、それだけで信金・信組にとってはメリットが大きく、次の融資に結び付く可能性も出てきます。
無関心の都市銀行に預けるか、喜ばれながら信金・信組に預けるか、その差は大きいのではないでしょうか。
経営者が心がけるべきこと
日本政策金融公庫から融資を受ける際には、早く融資を実行してほしいので、とりあえず今持っている口座を入金口座に指定したい気持ちは分かります。
しかしながら、これまで述べたように公庫の創業融資の入金先の選択は、次の融資に結び付く可能性を生み出しますので、慎重に検討しましょう。
公庫からの創業融資は新規口座開設の良い機会にもなります。
信金・信組を訪れ、事業資金として日本政策金融公庫から融資を受けるので口座を作りたい旨、その口座を今後の事業で使っていきたい旨を口座開設理由にすると、多くの場合は口座開設を断られることもないと思います。
今回のことは、金融機関との付き合い方そのものについても言えると思いますが、ご参考にして頂ければと思います。
