信用保証協会の役割

信用保証協会は信用保証協会法に基づき、小規模事業者の円滑な資金調達を目的に設立された公的機関です。

創業期の企業や中小企業は大企業と比較して経営リスクが大きいため、思うような資金調達が難しい場合が少なくありません。

しかし、公的機関である信用保証協会が債務保証を行うことで、民間の金融機関から融資を受けやすくなります。

債務保証があると、倒産等で返済が困難になった場合でも信用保証協会が残債を代わりに返済(これを代位弁済と言います)するので、金融機関は確実に債権回収ができます。

この制度のおかげで金融機関は中小事業者への融資がしやすくなるのです。

様々な保証制度

信用保証協会には数多くの保証制度があります。

通常、利用する保証制度は金融機関と信用保証協会間の相談で決められますが、経営者の皆様も知っておきたいのが、経営安定資金・危機関連経営安定資金などのセーフティネット保証です。

これらは、一定の事由により経営の安定に支障が生じている中小企業向けの制度です。

特に危機関連経営安定資金は、リーマンショックや東日本大震災、最近では新型コロナウイルス感染症の発生など、突発的かつ大規模な経済危機に対応してきた制度です。

利用するためには売上減少等に関する市町村の認定が必要となりますが、金利や保証料等が非常に有利になります。

危機関連経営安定資金の取り扱いが開始されても、金融機関から必ずその案内があるとは限りません。

経営者は日頃からアンテナを張り巡らし、自分から積極的な情報収集に努めましょう。

経営者が心がけるべきこと

上述の通り、信用保証協会を利用することで、金融機関のプロパー融資を受けることが難しい企業でも融資を受けられる可能性が高くなります。

条件的にも、無担保で返済期間7年の運転資金調達など、プロパー融資では難しい案件も通りやすくなります。

このようにメリットが多い一方で、保証料の支払いが必要であること、借入枠上限があること等に注意も必要です。

保証料については、金融機関へ支払う貸付金利と保証協会へ支払う保証料率の合計が実質的な金利負担であることを意識し、銀行と金利交渉を行うと良いでしょう。

保証協会へ支払う保証料は、無担保の場合は0.5%から高くて1%台後半ですが、支払利息と異なり融資実行時に一括払いとされることがほとんどです。

保証料の計算式は借入金額×保証料率×借入年数×0.55です。

また、借入枠については、銀行担当者に勧められるまま借入することは避けて、緊急時の為に多少の枠を空けておくことが重要です。

銀行員には保証協会付き融資のノルマがあり、企業の資金繰りには関係なく、とりあえず枠の空いている企業に保証付き融資を勧めることがありますので注意しましょう。

借換できる商品や一本化できる商品は極力まとめ、借入本数を減らして毎月返済額を抑えることも検討しましょう。

保証協会の利用には様々なテクニックがあるため、顧問税理士ともよく相談してより有効な利用につなげていただきたいと思います。