借入一本化とは

借入一本化とは現在返済中の複数の借入れを合算して新たに1口の借入れを行うことです。

借入れの一本化は「おまとめローン」など消費者ローンのイメージがありますが、中小企業にとっても有効な手法です。

借入残高をまとめ、返済期間を新たに設定し直すことで、月々の返済を軽減し、資金繰り安定につながります。

 

例えば、以下2口の借入がある企業で考えてみましょう。

借入その一:当初借入20百万円、現在残高7百万円、期間7年、毎月元金返済238千円

借入その二:当初借入30百万円、現在残高15百万円、期間5年、毎月元金返済500千円

合計:当初借入:50百万円、現在残高22百万円、毎月元金返済738千円

 

借入一本化の手法として、(A)現在残高で一本化する方法と、(B)同時に追加融資を行う方法があります。

 

(A)現在残高22百万円で一本化する方法

当初借入22百万円、期間7年、毎月元金返済261千円

※毎月元金返済738千円→261千円で477千円の返済負担軽減。

 

(B)18百万円を追加して40百万円で一本化する方法

当初借入40百万円、期間7年、毎月元金返済476千円

※毎月元金返済738千円→476千円で262千円の返済負担軽減。

※追加で18百万円の融資を受けてもなお毎月返済は軽減される計算になります。

借入一本化のポイント

一本化のポイントはなるべく既存借入の良い条件を生かすことです。

上記の例では一本化前の借入一二の返済期間は7年と5年ですが、一本化後は長いほうの7年でまとめることで毎月の返済負担は大幅に軽減されます。

但し、短いのほうの5年でも以下(C)(D)のように毎月返済額は軽減されます。

 

(C)現在残高22百万円で一本化する方法

当初借入22百万円、期間5年、毎月元金返済366千円

※毎月元金返済738千円→366千円で372千円の返済負担軽減。

 

(D)18百万円を追加して40百万円で一本化する方法

当初借入40百万円、期間5年、毎月元金返済666千円

※毎月元金返済738千円→666千円で72千円の返済負担軽減

 

借入期間同様、金利についても既存借入の中で条件の良い(金利の低い)方に合わせると利払い負担は軽減されます。

期間や金利は金融機関との交渉次第ですが、出来る限り好条件でまとめるように努力しましょう。

経営者が心がけるべきこと

以下のケースでは借入一本化に注意が必要です。

【複数の金融機関からの借入を一本化】

業績好調な優良企業や保証協会付きの案件でない限り、金融機関にとって他行借入の肩代わりはリスクがあり、借入一本化の難易度は高くなります。

また、肩代わりをされた方の金融機関とのその後の付き合いも難しくなります。

【一般的な融資と保証協会付き融資の一本化】

保証協会の規約上、一般の融資を保証協会融資で借換したり、またはその逆も基本的にはNGとなっています。

【保証協会付き融資でも商品により一本化できるものとできないものがある】

金利や保証料、期間等の条件が定められた商品もあり、保証協会融資だから全て一本化できるという訳ではありません。

 

借入の一本化は注意点が多く、タイミングも慎重に見極める必要があります。

金融機関や顧問税理士と良く相談しながら進めるようにして下さい。